カテゴリー「公共事業」の記事

2008年5月26日 (月)

道路特定財源について考える~その6~

5月13日に、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が成立したのを受け、地方に配分する補助事業予算が決定した。

本日は、都道府県別道路補助事業費の配分表を分析したので、報告

2008年都道府県別道路補助事業費

Roadlocal08s 

都道府県平均:412億4,800万円

最大格差:3.99倍(最小の香川県と東京都の格差)

上位の都道府県は、人口が多い、もしくは面積が大きい都道府県になっている。

2008年都道府県別人口1人当りの道路補助事業費

Roadlocalp08s 

・都道府県平均:19,821円

・最大格差:2.68倍(最小の埼玉県と最大の島根県の格差)

島根県や鳥取県など人口の少ない、都道府県が上位1、3番目になっているのは、財源が少ないからということなので、あろうか。

ただ、事業費が島根県は、387億9,500万円(17番目)に対して、鳥取県は197億4,600万円(42番目)と、なっている事をみると、単純に人口が少ないから、人口当りの補助事業費の額が大きくなっていると言うわけでは、なさそうだ。

また沖縄県が人口当りの事業費で上位2番目、事業費の大きさも9番目となっている。

補助事業費の配分の根拠が、どうもわかりにくい。

よって、都道府県別の道路密度を計算してみた。

ここで、道路密度は、道路延長km/可住面積km2とした。

都道府県別道路密度(2006年4月1日現在)

Roadlocalmitudo 

出所:都道府県別道路整備状況2007年(国土交通省)および平成18年度土地所有・利用の概況(国土交通省)を基に作成((C)社会経営システム研究所)

都道府県平均:9,492km/km2

最大格差:5.53倍(最小の北海道に対する埼玉県の格差)

道路密度の高い埼玉、神奈川、東京、大阪が、補助事業費の上位15番目以内に入っていることから、道路整備状況が遅れが、補助事業費の額を決定する要因では、なさそうだ。

また、過疎化が進む島根県の道路密度が14番目と、高いのは意外。

やはり、過去から続く有力政治家の影響が大きいということか。

続いて、渋滞の状況と、道路補助事業の整備費の関係を調べてみた。

都道府県別道路1km当りの渋滞損失額

Roadcongestion_3 

出所:1km当たり渋滞損失額都道府県順位表(国土交通省)を基に作成

損失金額は、渋滞による損失時間を、金額に換算したものである。

損失金額が大きくかつ、補助事業費が大きい都道府県は、東京都、福岡県、愛知県、大阪府、神奈川県、静岡県、沖縄県、埼玉県の8県。

損失額が小さいが、補助事業費が大きい都道府県は、北海道、新潟県、鹿児島県、福島県の4県。新潟県は、中越地震の影響がまだ残っていると言えるので、除外して、考えると、渋滞状況が、道路補助事業の整備費の大きさに影響を与えているようだ。

いずれにしても、補助事業費をどのような基準で、配分しているのか、政府および国土交通省には、明示してもらいたい。

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2008年5月24日 (土)

道路特定財源について考える~その5~

5月13日に再議決により成立した「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律」について、まとめたので、報告します。

道路特定財源に対する考え方の比較

Road08matome

法的拘束力はないが、閣議決定で来年度より一般財源化する事を決定したのは、半歩前進といえる。

なぜなら、一般財源化するのであれば、使途は限定されないので、予算の取り合いになり、少なくとも、ムダな道路を整備したり、法外なタクシー代や、レク費などのムダ遣いを行なう余裕がなくなる事は、間違いない。

今秋から、一般財源化された財源がどのような目的に使われるのか、道路整備計画の見直しについて、議論が行なわれるので、今後の国会の動きを注目したい。

私の道路特定財源に対する考え方は、下記のとおりである。

・道路特定財源は全て一般財源化する。

・暫定税率を全て廃止、本則とする。(ただし税率については、要検討)

・揮発油税は、炭素税として改め、バイオエタノールや電気自動車、水素自動車等を利用することで、消費者が価格的インセンティブを得られるよう、税率を設定する。

・揮発油税の現行暫定税率相当分は、地方税として全て地方に委譲し、地方で税率を設定できるようにする。

・道路整備計画は、全て見直す。

石油を使えば、CO2を排出され、温暖化に影響を及ぼす事は、自明であるから、ガソリンに高率の税がかけられる事は、至極当然の考え方、一般財源化するのであるならば、税率は、下げるべきといった考え方自体が、時代遅れといえよう。

環境先進国であるドイツやスウェーデンにおいては、ガソリンに日本よりも高率の税がかけられており、使途は、限定されていないことから考えても、一般財源化、炭素税化は、当然の流れだと、考えている。

ガソリンの税負担率 日本44.6%<スウェーデン62.2%<ドイツ63.9%

参照:財務省OECD諸国のガソリン1リットル当たりの価格と税(2007年第2四半期)

また、道路整備の問題は、現場をもたない国が使途を決めているため、ムダな道路整備がされ続けてきた歴史がある。

よって、財源を地方に移譲し、道路を整備するのか、医療や福祉といった他の用途に使うのかを、地方の住民が判断するのが、地域主権時代に則した考え方だと思う。

果たして、どのような結論に落ち着くのか、注意深く国会の審議を見守るだけでなく、今後も、自分の考えを主張していく所存である。

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2008年3月27日 (木)

道路特定財源について考える~その4~

道路特定財源について考えるの4回目

今回は、暫定税率が廃止になった場合の影響について分析する。

●2008年度道路特定財源の規模(本則+暫定上乗せ分)

Road08tokutei02

本則:暫定上乗せ分=52:48

よって暫定税率が全て廃止になった場合

・国の道路特定財源:1兆6,427億円1兆6,940億円削減

・地方の道路特定財源:1兆1,613億円9,064億円削減

・道路特定財源合計   :2兆8,040億円(2兆6,004億円削減)

暫定税率廃止による影響度合いは、都道府県・市町村によって異なる。

道路特定財源の暫定税率廃止の影響額(上位10都道府県)

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道路特定財源の暫定税率廃止の影響額(下位10都道府県)

Road08zanteihaishi02

影響額の最大格差は526億円(北海道と鳥取県の格差)と、かなり開きがあることがわかる。

道路特定財源のうち、地方分の暫定税率廃止の影響である。

地方の道路整備は、地方の財源だけで整備されているのではなく、国の補助事業や交付事業があるので、暫定税率廃止の影響は、さらに大きくなる。

次回はこの影響について解説する。

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2008年3月 4日 (火)

道路特定財源について考える~その3~

道路特定財源について考えるの3回目

今回は、道路特定財源について解説します。

●道路特定財源制度とは

道路特定財源制度とは、受益者負担(利益を受ける者が費用を負担する)の考え方に基づき、道路の利用者である自動車の所有者やその燃料を使用した人が道路の建設・維持費用を負担する制度のことである。

その歴史は古く、戦後高度経済成長の土台をつくるには、道路整備が緊急課題であるとして、1953年、田中角栄らにより議員立法として「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が制定され、1954年、揮発油税が道路特定財源化され「道路整備五箇年計画」がスタートし、同法は、1958年に「道路整備緊急措置法」に継承され、道路整備特別会計が創設された。以降、新たな税目の創設、税率の引き上げなどが繰り返され、道路特定財源の規模は拡大し、2003年に「道路整備費の財源等の特例に関する法律」に改題され、同時に、道路整備計画は、道路整備五箇年計画から社会資本重点整備計画の中に集約化され、使途の拡大が始まった。

●道路特定財源の種類

道路特定財源の種類をまとめると下記のようになる。

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税目としては、国が4税目、地方が2税目となる。

また、それぞれの根拠となる法律は、以下のようになる。

Tokuteizaigenhyou02_2

●2008年度の道路特定財源の規模

Road08tokutei01

出所:「国土交通省平成20年度道路整備予算財源内訳等」を元に作成

国:地方=62:38 と国の比率が高くなっている。

さらに、地方の道路特定財源のうち、自動車重量税譲与金地方道路譲与金石油ガス譲与金は、それぞれ自動車重量税、地方道路税、石油ガス税として、国で集められ、交付税及び譲与税配布金特別会計をとおして譲与された財源であり、税目としては国税であり、地方独自の道路特定財源の規模は、軽油取引税と自動車取得税の合算額1兆3,938億円しかない。

つまり、地方の道路特定財源の33%、額にして6,739億円は、国のコントロール化におかれていることになる。

よって税目で財源を分類すると

国:地方=74:26となる。

地方分権が提唱されて久しいが、地方の道路整備は、財源の面から見ても、国のコントロール化におかれており、地方の裁量権は極めて低いのが現状である。

地方分権の推進の視点でみても、道路特定財源制度の見直しは、極めて重要な課題である事は明白といえる。

次回は、暫定税率の廃止した場合の影響額について解説します。

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2008年3月 2日 (日)

道路特定財源について考える~その2~

道路特定財源について考えるの2回目

今回は、地方道路整備費用の内訳について解説します。

(前回のblogで予定していた道路特定財源の内訳については次回解説します。)

●2008年度地方道路整備費の財源構成

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出所:「国土交通省平成20年度道路整備予算財源内訳等」を元に作成

地方道路整備費の財源のうち、道路特定財源の占める割合54%と、地方一般会計の割合より高くなっており、道路特定財源なしに地方の道路整備は、ままならない事がわかる。

また、道路特定財源のうち、自動車重量譲与金3,601億円地方道路譲与金2,998億円石油ガス譲与金140億円は、自動車重量税、地方道路税、石油ガス税として国で徴収され、交付税及び譲与税配布金特別会計により、地方に譲与金として交付されたものであり、税目としては国税となる。

●2008年度道路整備費用地方分の内訳

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出所:「国土交通省平成20年度道路整備予算財源内訳等」を元に作成

外側の円が、支出の内訳、内側の円が使途決定権を示している。

地方が独自で支出を決められる範囲は、58%(2兆2,200億円)にしかなく、結局、地方の道路整備のうち42%は、国が使途を決定していることになる。

都道府県知事および市町村長は、財源の確保だけを声高に訴えるのではなく、使途決定権の移譲を訴えるべきではないか。

さらに言えば、『使途は、道路に限るべきではない』が、多くの住民の意見であろうから、都道府県知事および市町村長は、もう少し住民の意見を傾聴すべきであろう。

次回は、道路特定財源の内訳について解説します。

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2008年3月 1日 (土)

道路特定財源について考える~その1~

道路特定財源について、数回にわけて分析を行ない、最終的に道路特定財源の見直しについての、政策を提示したいと考えている。

まず2008年度の道路整備予算を分析

●財源構成

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出所:「平成20年度国土交通省道路整備予算財源内訳等」を元に作成

今話題になっている道路特定財源は、道路予算の63%を占めていることがわかる。

国と地方の財源比率は

国:地方=42:58

と地方財源が大きいことがわかる。

●事業支出

Road08saisyutu_3

出所:「平成20年度国土交通省道路整備予算財源内訳等」を元に作成

支出についても、国より地方事業の方が割合が高く

国:地方=32:68

となっている

●財源と支出の関係

Road08sainyusaisyutu_2

出所:「平成20年度国土交通省道路整備予算財源内訳等」を元に作成

国から地方へ5,852億円が交付されている。

地方にとっては、財源が補填されており、一見問題がないように思える。

しかし、これにはカラクリがある。

●財源と使途決定権限

Road08sainyusaisyutu2_2

出所:「平成20年度国土交通省道路整備予算財源内訳等」を元に作成

財源は

国:地方=42:58

であるにも係らず

使途決定権限は

国:地方=71:29

結局、地方の道路整備の使途についても、国が決定権を有しており、道路整備事業のうち地方が単独で行なえる事業は、総事業費29%しかないのである。

地方の方が、道路整備の財源が見かけ上は大きく、また、国とほぼ同額の道路特定財源を有していても、使途を決定する権限がないのだから、地方自治、地方分権とはかけ離れた状況だといえる。

道路整備事業費のうち7割以上を国、つまり国土交通省が決定しており、その金額は、道路特定財源と財投および料金収入を合わせた額と、ほぼ同額であることから、道路特定財源の見直しこそが、構造改革の本丸と言えるのでは、なかろうか。

このような状況の中、都道府県知事、市町村長は、揃いもそろって暫定税率維持を要求している。

地方議会での予算審議も佳境に入ってくる中、揮発油税をはじめてとする暫定税率が廃止になれば、財源に穴があき、補填できない可能性が高いから、維持を要求しているのであろう。

しかし、暫定税率が維持されても、地方の道路整備が進捗するかどうかは、国が決定するので、地方には裁量権がないのだから、自らの自治体の道路整備が実施される保障など何処にもないのである。

暫定税率維持を要求するのであるならば、少なくとも使途決定の権限も地方に移譲することを要求すべきではないか。

自治体の首長が、暫定税率の維持のみを声高に叫んでいる、状況に危機を感じずにはいられない。

次回は、道路特定財源の概要について分析する。

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